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 これは叔父が病で入院した折、若い頃の話として父が聞いたものである。

叔父の生まれ育った鬼怒川の上流、栃木と福島の県界山地の話である。

昭和二十年代中頃、当時はムササビの毛皮が高値で売買されたため、湯西川付近では毎晩のように「ももっか撃ち」を行う者が多かった。

 

その夜も叔父と友達の男は一羽を獲り、「これで五円にはなった」と話しをながら、持丸山から芹沢に向かって帰る途中であった。

突如、左手の小さな尾根辺りから強い風が吹き出したような音がゴォゴォと響いてきた。

「随分強い風が吹き出したな」と思い、二人は突風を避けるつもりで近くの大木の根元に腰を下ろして風の通過を待つことにした。

 

その時である。二人が風吹く音のする尾根の方を眺めて見ていると、その麓の方から何やら二抱えもあるような太くて長いでっかい丸太のようなものが、ゴゥゴゥ、ビュウビュウと激しい音を立て、トンボ返りを打ちながら大尾根に向かって登って行くのが目に入った。

時間にしたら五分位だったか、怪物はドッコン、ドッコンと地響きを立て、尾根を駆け上がって向こう側に姿を消した。

 

その瞬間、「キィーッ、ギィーッ」と恐ろしい声で鳴いて、ひっくり返って視界から消えた。

同時に先程まで響いていた不快な風音も途絶え、山は以前の静けさに戻って来た。

それから二人は話もせず、一目散に山を駆け下りるとひた走りに走り家に帰った。

 

その後、同じ時刻に怪物の通った小尾根の向こう側で猟をしていたという別の二人の友達に話を聞いてみたが、両人とも風の音も怪物の姿も知らなかったという。

「兎に角、凄い声だったぞ」と病床の叔父は語ったそうだ。

引用元:怖いコピペ

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