oshotel5

忘れ去る前に記録するつもりで書きます。これは業務中に起こった変わった体験です。話に出てくる同僚はまだ勤めています。
 
自分は数年前に北陸のCホテルでフロント業務をしていました。その時の話です。
 
普通のビジネスホテルなので当日深夜のフリー客に関しては基本的に受けたりしません。それに都会ではないので、深夜に宿泊を依頼してくる客はトラブルの匂いを隠せないのです。
 
その日はすでに午前2時を回っており、仮眠の準備を始めた時の事でした。
 
「ルルルル…」
電話のカン高い呼び出し音に少々焦りながら受話器を取り応対を始めました。今から一部屋取れますか?の質問に、今夜は満室にしておりますと丁重にお断りしました。
 
一応その日勤務の同僚に、先ほどした電話でのやりとりを手短に説明しておく事にする。
 
「さっきのフリー予約が少し変だった。断ったのでフロント来ても入れちゃ駄目だよ」
 
同僚が承諾してくれたのでトイレと歯磨きを済ませるべく席を立ち別のフロアへ…
 
用を済ませてフロントデスクに戻ってくると昨日のチェックイン時に覚えのないお客の顔が、同僚に聞くと自分がフリー予約を断った客のようだったが、同僚は断れずチェックインの最中だった。
 
仕方ないので泊める事にしたが、防犯の事もあるので通常の客よりも注意深く観察する事にした。
 
もう変とかそういうのではなく、あきらかに普通じゃない風体に愕然とした…やばいと感じる。
 
まず、夏なのにコートを着ている。ファッションではない。薄汚れた染みだらけのコート、汚れた帽子を深く身につけ、その脇から洗ってはいないであろうベトベトな髪の毛が見えた。
 
しかしそんなのは普通と思えるほど他に異常な部分がある。それが圧倒してどうしてもそっちに目がいく。
 
それは皮膚のいたる所に”カサブタ”があるのです。しかも鮮血と膿(うみ)に塗れているためによけい目立ちました。
 
宿泊表に連絡先を書いている最中も血があふれ、膿がにじみ出ており、フロントデスクにも飛び散っている。同僚は目が極端に悪いため、おそらくは見えていないのかもしれませんが普通に応対していました。
 
前受け金として通常よりも多めの1万円を預かり、翌日アウトの際にお釣を返却する事を説明した。逃げて料金が回収不能にならないようビジネスホテルでは当然の対応なのだが慣れていないようだった。
 
鍵を渡して部屋にあがってもらい、なぜ入れたのかと同僚と揉めたのだが、それも止めて仮眠する事にした。
 
「おおい!A君!起きてくれ!逃げられた!!!」
 
時計を見たらAM5時、、、なんなのよ…全く。寝起きで頭が回らないのだが、同僚のあわてぶりが尋常じゃないので説明してもらう事にした。
 
「やっぱりあの客が逃げた」
 
あの客とは深夜のフリー客のようだった。やっぱりな…だからいったんだ。でもまだAM5時だし、鍵を持って出てるから散歩かもしれない。なにより1万円の預かりがある。
 
同僚のSさんになぜ1万円の預かりがあるのに逃げたと思うんだ?と問いかけると予想外の答えが返ってきた。
 
「早朝に自動ドアの音がしたので朝刊だと思い取りに行ったら、点々と血の跡が駅方面へ続いていた」
 
「ピンときたので深夜のフリー客の部屋に行くとベットも使ってないし鍵も消えていたんだよ」
 
でも逃げた事にはならないでしょ。同僚にそううながしたのですが納得してくれない。
 
「宿泊表の住所はデタラメだった。電話番号は繋がるんだけど誰も出ないんだよ。おかしいよ絶対」
 
じゃあ最終チェックアウトのAM10時までに帰って来なかったら考えましょう、という事で落ち着いてもらった。
 
結局、あの男は帰って来なかった。しかしどうでもいい、預かり1万円で部屋未使用なら丸儲けだし。と、そこにルームメイクさんが
 
「A君!A君!ちょっと!きて!早く!!」
 
とあわてふためいてやってきた。
どうしました?と聞くと
 
「あんなの見たことないから黙ってついて来て!」
 
とあのフリー客の部屋に案内された。
え?ここに何が?
 
「とにかくA君!風呂場見てよ!」
 
部屋に入るとひどい臭いに鼻を突かれた。ちょっと嗅いだことのない臭いだった。
 
何が近いかというと食肉センター等で死がいを焼く臭いのような感じ、ユニットバスの戸を開けると凝縮されたその臭いが一気に開放され顔面に叩きつけられた感じがした。
 
バスタブ前の床には血の付いたトイレロールが無数に捨ててあり、便器の中には理解しがたい物が詰っている。
 
それらをやり過ごしバスタブのカーテンをつかみ勢いよく横に引いた…目の前には壮絶な光景が見えた。
 
恐らく水深は20~30cmぐらい。どす黒い、というかそう見えた水に無数の人間の皮膚やカサブタが浮いていた。
 
見ただけで吐き気をもよおすのが臭いも手伝ってさらに加速する感じだったけど一度部屋から出て落ち着く事に。
 
「A君、あんな客からはそうじ代もふくめてふっかけなきゃ駄目だよ」
 
と冗談まじりに言われ思い出した。
 
あ、そういえばSさんはフリー客の自宅電話は繋がったと言ってたな…かけてみるしかないな…
 
フロントデスクに戻り女性スタッフに当日の集計をお願いし、Sさんにはあの男の清算処理を頼んだ。
 
早速あの男の自宅に電話をかける「ルルルルルル・・・ルルルル」呼び出し8回程で通信可能になった。
 
おはようございます。私CホテルのAと申しますが××〇〇さんのご自宅でございますか?と聞いた、が
 
「はい、おはようございます。〇〇火葬場です」
 
、、悪い冗談だよな?これ…
 
何度聞きなおしても〇〇火葬場のようだったので少し経緯を説明して電話を終える事にした。
 
フロント処理がすべて終了した後に同僚を少しとがめた。やはりルールを守らないとロクな事がない。そこへルームメイクさんが
 
「あれ一体なんだったの?流れないし全体的にゼリーのようだったわ」
 
と質問してきた。
 
憶測ではあるがあの男が関係しているのは事実だと思う、しかしあのグロテスクな溶液がどうやって溜まったか。
 
それだけはもし真実を知っていてもメイクさんに伝えるのは止めることにした。やめられると困る…
 
ひどい臭いが留まったままのその部屋は今もお客様を泊めている。
 
あの液体がなんだったのかわからない。思い出したくもない。あの男はなんだったのか、今となってはどうでもいい事かもしれない。本当に奇妙な体験でした。
 
あの男は3時間程いた部屋の中で一体なにをしていたのか…なぜ、火葬場の電話番号を自宅連絡先として選んだのか…
 
それよりもあの出血で街中を歩けば目立つのに目撃者もいない…自分はドッキリテレビにダマされたと思う事にしている。

引用元:パラノーマルちゃんねる

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