96fd96ab

自分は本が好きで、古本屋巡りをよくする。
絶版の本を探したりもするが、基本、貧乏人なので安く買って、読み終わったら売るパターンが多い。
掘り出し物は一期一会なので、古本市にもよく行く。
これは地下街の催し物コーナーに来た、古本市でのこと。

仕事帰りに、切らしてるものを買いに地下街に下りた。
ちょっとした広場になっている催し物コーナーに、古本市が来ていた。
複数の個人経営の古書店の共催らしく、売り場は本棚が迷路のように入り組み、年代物の古書・・・と言うより、骨董見たいな感じの本が多かった。

全集のばら売りを数冊買って、面白そうな本を探してぶらぶらしていたら、戦時中コーナーみたいな所に入り込んだ。
軍隊の教練書、軍隊手帳、士官用の部下の指導書などの茶色く変色した本や、写真集、当時の戦意高揚記事の載った雑誌などが積んであった。

ミリヲタではないんだが、ちょっと興味が涌いたので軍隊手帳を手に取ってみた。
ぱらぱらめくると軍規が書いてあったりして、ふーんと思っていたら、いきなり誰かに怒鳴られたような気がした。

立ち読み禁止で、店番の人に怒られたのかと思ったが、周囲には自分の他は、数人の年配客しか居なかった。
気のせいかと思って手帳に目を戻し、元の持ち主の安否が気になるなぁとか思っていると、『女子供が見るもんじゃない!』と、さらに怒鳴られた・・・気がした。

自分は霊感とかないんだが、「これはもしかして英霊の方ですか?」と思い、「女子供がこんなん読んですんません」と心の中で謝って売り場を出た。

軍隊は男の世界だから排除されたのか、軍隊みたいな辛い事は女子供が見なくていい・・・見せたくないから怒られたのか。
霊感のない自分にも聞こえるような、渾身の叫びで一喝されたのかと思うと、真意はわからなかったが、イタズラを見つかったような気まずさと悲しみを感じた。

立ち読みして怒られたのは、それが初体験だったりもする。

引用元:鵺速あなたの傍の怖い話

この記事を読んだひとは、こちらも読んでいます