大鹿遭対協夏山救助訓練①

私、町の消防団に入ってました。

消防団って火事のときが主な仕事ですが、地域によっては登山して遭難した人の救助もしてるんです。

ある年の夏に、10日ほど前に登山に行った登山客が帰らない、

遭難したそうだということで、消防団でも登山することになりました。

ただ正直な話、消防団なんていっても、普段なんの訓練してるわけでもないから、

大抵は山岳救助隊なんかが発見するんです。

だから、そのときも軽い気持ちで行きました。

夏といえど、山ですから夜はまだ冷え込みますが、昼間は暑いんです。

登るだけで汗だらだらでした。

その年も、ずっと天気が良くて遭難してから雨が降ってないようでした。

一時間半ほど登って休憩してるときです。

遭難捜索なので、獣道みたいなとこにも行きますからコンパスを持ってたのですが、うっかり落としました。

慌てて、転がっていくコンパスを追いかけると沢に落ちていったのです。

(しまったな)と思っていると、沢に何かあります。よく見ると登山リュックと服でした。

私はすぐにみんなを呼んで、沢に降りました。

案の定、人間でした。

すでに腐敗が始まっていて、水に浸かってた片足の皮膚もとろけてました。

顔も沢に落下したときの怪我なのか、顔が凹んでましたし、怪我されたとこから、ウジも出ています。

鳥かなんかに、ついばまれたのか、髪の毛も抜け落ちそうでしたし、目玉に蝿がたかってました。

不謹慎かもしれませんが私このとき、『ああ、人間も自然の一部なんだな』って感じたんです。

発見されなければ、皮膚が腐り、肉が腐り、やがて骨になる。

そうやって自然に帰るんだなあって感じたんです。

とりあえず、遭難者本人かどうか確認するために、リュックを外させてもらい中身を出すと色んな登山用具が出てきました。

その中から、コンビニのおにぎりがでてきたのです。

しかも、買ったときのままの状態で。

私このとき、おにぎりに寒気を感じました。

だってそうでしょう?

山とはいえ、夏の真っ盛りですよ。

日付は十日前ですよ。

隣で人間が腐敗してるのに、おにぎりは腐敗どころか、まだ食べれそうです。

それを普段私達は、平気な顔して食べてるんですよね。

それ以来コンビニのおにぎりは食べれなくなりました。

この記事を読んだひとは、こちらも読んでいます