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18年ほど前、オレが専門学校に通っていた頃の話。

そのころは専門学校生で、学校でつるんでる仲間とよく心霊スポットに行ってた。

別に大好きって訳でもなくて、特に行くとこもなくて、ただドライブしてるだけもつまんない。

なので、適当な目的地として心霊スポットを選んでる、ってだけだった。

「うぉ~怖ぇ~」とか、その場のノリで言ってはみるものの、別に怖いなんて思ったことは一度もなかった。

 

そんなころ、友達が車を買ったというので、その新車でドライブに行く事になった。

「またKダム行く?」

「もう心霊スポットええよ~。別に女の子おるわけじゃなし」

「行くとこないじゃん。米軍基地でも行こうか?」

あらかた近場の心霊スポットは行き尽くしたオレたちは、そんなことを話しながらドライブしてた。

 

「そういえば!」と、友達が話はじめた。

「YってとこにS峰ってとこあるらしいんじゃけど、そこなんか怖いらしいで」

「へぇ、どんないわくがあるん?」

 

聞くと、なんでもYって場所は、縁結びの神様が祭られてる神社があるそう。

そこである女が好きな男への思いを願いつづけたが、ついぞ叶わず、その神様を呪うという遺書を残して、身を投げたとこなんだそうな。

そんなことされて、さすがに神様も呆れちゃっただろうがな。

 

「ええじゃん!行こうや!」

「でも場所がいまいちようわからんわ。Yは分かるけど、S峰って聞いた事ないよ」

「ええよ、コンビニで聞こw」

別に目的地につけずとも、何か探すっていう目的でよかった。オレら流の遊び方。

 

Yは少し遠かったけれども、夜は道もすいててそんなに時間はかからなかった。

オレらは適当なコンビニを見つけて、S峰を探すことにした。

友達2人は売り物の地図を広げて、オレは店員に聞いてみた。

「すんません、ここらでS峰って知りません?」

「あぁ、S峰。ありますよ」

そう言って、店員は詳しい行き方を教えてくれた。

 

「そこって神社あります?」

「あぁ、T神社でしょ?今から行くんですか?」

「そうそう、なんか怖いらしいから・・・」

「怖いですよ。あそこは」

店員の口ぶりに興味をひかれた。

 

「え?店員さんもいったことあるの?」

「ええ、絵馬でしょ?」

 

「絵馬・・・?」

「ええ、絵馬の遺書」

 

「ナニそれ?絵馬に遺書が書いてあるんですか?」

「そうですよ、右側のかけるとこの一番下の右から・・・3番目くらいかな?一番奥。でも、もうさすがにないかな?」

 

「そこにあるの!?」

「ええ、オレは見たんですけどね。ま、今から行くんでしょ。
もし見られなかったら、何が書いてあったか教えますよ。大体覚えてるから。
帰りもここ通るんでしょ?」

 

「そんなん見て大丈夫なん?」

「はずしちゃダメらしいですよ。オレはびびってはずせんかった。できたら外してみて下さいよ」

 

またまた~、なんて店員と談笑していると、「おい、場所わかった?」と、友達が地図をしまって話しかけてきた。

「おう、店員さんが教えてくれたわ。ついでにおもろい話も」

「ホンマ?地図載ってなかったーや。分かったんなら行こうや」

「OK!OK!おもろい話したるけーの!」

ただ出るのは悪かったので、缶コーヒーを一本買って店を後にした。

 

オレはさっき店員から聞いた話を、走る車の中でコーヒーを飲みながら友達に話した。

「それマジで?やばいんじゃないん?」

「まぁはずすまーや。見るだけならええんと」

「外したらどうなるか知りたいわ。○○ちゃん外してみてや」

「お前店員と同じ事言よるわw」

そんな話をしながら、店員に教えてもらった通り車を走らせた。

 

「お、アレじゃないん?」

神社らしきものが見えてきた。

そこは結構山を上ったとこで、神社はちょうど頂上付近に建ってるって感じだった。

その辺り一帯がたぶんS峰なんだと思う。

オレ達は車を停め、神社に入ったが、神社は思ったより奇麗で、なんだか拍子抜けしてしまった。

 

「なんか、心霊スポットって感じでもないのー」

「おぉ、これならW(近所の地名)の神社のがよっぽど怖いで」

「まぁ、絵馬探してみようや」

絵馬がかけてある掲示板みたいなものはすぐに見つかった。

幅2メートル弱くらいのものが2つならんでいた。

 

「右側の一番下の右から2、3番目・・・」

絵馬は、掲示板全体にギッシリといった感じでかけられていたが、店員が言った箇所に目をやると、ちょっとおかしい。

 

「あった?」

「いや、ないけど・・・何コレ?」

 

右側の掲示板、一番下の一番右。

絵馬をかける釘の根元に、なんだか郵便ポストのような、ロッカーのような、いや、まるでビルの配線やらが入ってて、丸いとこを押して取手を出して開くやつみたいな。

(小型の配電盤のような見た目)

そんなものが取り付けられていて、蓋に開いた小さな穴を通って、釘は打ち付けられていた。

その蓋の両端は、耳みたいに取手が出してあって、それぞれ南京錠がしてあった。

 

「・・・?」

「こん中に遺書が入っとるとか・・・?」

「・・・!そうじゃ、きっとそうじゃ!うぉ、これ怖いw」

 

中に目的のそれが入っていると確信して、妙にテンションがあがったオレらは、そのロッカーみたいな箱をはずしてみようとなった。

箱は掲示板に釘で打ち付けられているだけだったので、みんなで引っ張ればはずれそうな気がした。

最初に、外に掛かってる絵馬を全部はずして、車からもってきたマイナスドライバーで、箱の打ち付けられている部分を持ち上げて、指が入るくらいの隙間になってから、みんなで引っ張った。

バキッ!と音がして箱が外れた。

 

「うぉ!外れた!」

 

中には、明らかに他のものより古い、黒ずんだ絵馬が入っていた。

みんな最初は黙ってみていたが、オレは絵馬に顔を近づけよく見てみた。

何も書いてない・・・裏返してみると、字らしきものが書いてある・・・。

みんなも顔を近づけた。

「おい、火ぃ点けて。見えんわ」

友達がライターの火で絵馬を灯す。

 

大好きなYさん
大好きなYさん
祈ったのに離れて行った
裏切られた
許さない

「!!!」

みんな絶句した・・・これは怖い!

「うぉ~~!怖ぇ~~~~!!!!」

テンションが上がったオレは、調子にのってオーバーリアクションをしてしまった。

手に持っていた絵馬がオレが振った手に引っかかって、ポーンと飛んで行った。

 

「あっ!」

カツンと音を立てて落ちる絵馬。

オレは急いで拾い、すぐにもとの場所にかけた。

 

「・・・やべ」

「・・・さすが○○ちゃん」

「いや、ホンマにわざとじゃないんよ。ちょっと調子乗ってもうて・・・」

友達に言い訳をしてもしょうがないのだが、なんだか怖くてそんなことを言った。

 

「ヤバいんかね?」

「・・・ま、迷信じゃろ。なんもないよ、こんなもん」

ちょっとビビりはじめたオレに気を使ってくれる友達に、ちょっとホッとしたその瞬間、

「こりゃ~~~~~~~~~~~!!!!!」

ものすごい怒鳴り声!

オレは腰を抜かして、そこにへたり込んでしまった。

 

「また冷やかしかと思ったら、まさか外しおるとは・・・こんの馬鹿もんがぁ!!!」

いきなり怒鳴ったオッサンが、神社の人だってのはすぐにわかった。

いい歳こいて、こんなところ見つかるなんて情けない・・・。

警察呼ばれたらヤバイかも・・・。

 

「すんません・・・」X3

みんな謝るフリして、逃げるタイミングを目くばせして計ってた。

 

するとオッサンは、

「外したか?」

「あ・・・あの・・・はい」

「箱外したんは見りゃ分かるわ!!絵馬じゃ!!絵馬は外しとらんじゃろうのぉ!!!」

 

「あの・・・ちょっとだけ・・・ほんのちょっと。すぐに戻しましたよ」

「・・・」

オッサンは押し黙って、フゥーッとため息をついた。

 

「だれなら?外したんは」

「オレ・・・です・・・」

「ちょっと来い」

「いや、ホンマにすいません。出来心で。箱も直しますから・・・ごめんなさい・・・・」

「えぇけ~、来い言うとろうが!」

 

オッサンはいかにも神社の人って格好をしているのに、まくしたてる様子はまるでヤクザだった。

オレは仕方なく、言うがままついて行った。

その時、オレを置いて逃げようかどうしようか迷っていた友達の様子が、とても憎らしかった。

 

結局友達2人もついてきて、オレらは神社の裏手の建物の中に連れてこられた。

「さてと」

オッサンは正座しているオレの前にしゃなりと座って、じっとオレの目を見た。

顔が怖くて目をそらしたかったが、そらしてはいけないような気がして、オレもオッサンの目をじっと見ていた。

 

しばらくして、

「あんたぁ、男前じゃの」

「は?」

「彼女はおるんかい」

「え?・・・ええ、一応」

「好きなんかいの」

「???・・・ええ、まぁ・・・」

 

訳のわからない質問に困惑したが、なんとなく心配になって聞き返した。

「あの・・・彼女がなんかまずいことにでもなるんですか?」

「ん~、もしかしたら調子壊すかもしれん」

「えぇ?なんで?」

 

「あんたぁ、あそこまでしたんなら、あの絵馬が何か知っとるんじゃろ?」

「えぇ、噂で・・・」

「あの絵馬があそこにかかっとるうちはの、女も悪さはせん。決して安らかな訳ではないがの。
外すととたんに悪さをするんじゃ。自殺したもんもおる」

「・・・」

オレは絶句した。

 

「オレらもヤバいんですか?」

後ろの友達2人が聞くと、

「ちょっと外れたくらいなら、あんたらは大丈夫じゃ。
でもあんたは、ちょっと悪さされるかもしれん。
あんたぁ男前なけー、もしかすると女を狙われるかもしれん」

「ちょ、ちょっと、どうすればいいんですか!?」

幽霊なんか信じない。そう信じていたオレは、もう完全に霊の存在を肯定していた。

 

「あんたに影が見えん。女の所に飛んだのかもしれん。もしかしたらなんもないかもしれん。女が調子悪くなったら、病院行く前にここに来い」

オッサンは棚からメモ用紙を取り出し、電話番号を書いてオレにくれた。

 

「ええか?次悪さしたら警察突き出すけんの?わったか!?」

「ハイ!」X3

いい返事をして頭を下げて、帰ろうとするオレらを呼び止めて、オッサンは工具一式を持ってきた。

「直して行け」

オレたちは外した箱の修理をやらされた。まぁ当然と言えば当然なんだが・・・。

 

捲れた板をボンドでひっつけている途中、目の前で揺れる古びた絵馬が怖くて、マジで帰りたかった。

絵馬に箱をそっと被せて、釘を打ち直した。

「こりゃ、どうにかせんとのぅ・・・」

オッサンが後でつぶやいた。

 

その日は、なんだか大変なことをしたと思ったが、なんか実感がなかった。

帰りの車の中でも、

「いや~○○ちゃんはやる思うたよ。さすがじゃーや。
『うぉ、怖ぇ~~、ポーン!』じゃもんの~、オレできんわ」

「いや、マジでびびってもうたよ。でも正直、オッサンのが怖かったけど」

「ホンマよ。なんやあれ、ヤクザか思うたーや」

緊張感などまるでなく、解放された安堵で逆にハイテンションだった。

 

「オレカノちゃん(オレの彼女)も大丈夫よ。あんなぁ脅かすために言うたんじゃーや」

オレも、まぁないだろう・・・と思っていた。

帰りに行きによったコンビニによって、店員に絵馬を外したと報告して帰った。

店員はどうなったか聞いてきたが、何もなかったと言うと、なぁ~んだと言った感じで笑っていた。

次の日、一応心配だったオレは、彼女に電話をして体調を確認した。

そんなことを聞いてくるオレを彼女は不思議に思って、何かあったのかと聞いてきたが、

元気そうだったので、次の日の休日に会う約束をして電話を切った。

 

その晩、彼女から電話があった。

「○○ちゃん?ごめん明日会えんかも」

「え?どした?」

ドキッとした。

 

「なんか風邪ひいたみたい。熱あるし、寒気もする・・・。
治ったらいいんじゃけど、なんかひどくなりそうで・・・。
もしダメじゃったらごめんね」

オレは急に怖くなった。

 

「そう・・・あったかくして、今日はもう寝ーや」

電話を切って、オレはすぐにオッサンにもらったメモがちゃんとあるか確認した。

電話番号を携帯のメモリーに入れて、メモも財布に入れておいた。

もし明日、彼女の体調がやばかったら電話をしよう・・・。

 

次の日、昼前に起きて彼女に電話を入れてみた。

何回かかけたが出ない。

しばらく待ってまたかけた。さらに待ってまたかけた。

全く電話にでない彼女が心配になって、バイクで彼女の家に行った。

彼女は実家暮らしで、実家の番号は知らなかった。

 

彼女の家について、チャイムを押そうとしたその時、玄関がガチャリと開いて、彼女を背負ったお父さんが出てきた。

「オレカノっ!・・・!」

お父さんはオレを見て、「オレカノの友達?今はちょっと・・・体調が悪いんじゃ。病院につれて行くけー」

背負われている彼女は、意識があるのかないのかもよくわからなくて、口をぱくぱくさせてやっと呼吸をしている、といった感じだった。

(これは電話をしないと・・・)

すぐに携帯を取り出して、神社の番号に電話をかけた。

 

玄関から半ベソのお母さんが出てきて、お父さんにかけより、

「あなた・・・救急車呼ぼう!」

「車の方が早い!」

なんて言い争いをしていた。

それを聞いてオレはパニックになりかけてた。

 

『T神社です。』

「あの、○○と申します。神主さんを・・・Jさん(オッサン)を・・・!」

『は、はぁ、少々お待ちを』

保留音が2~3秒流れ、すぐにオッサンが出た、

 

『もしもし、大丈夫か?』

「彼女が・・・オレカノが・・・!!」

『落ち着け!すぐに来れるか!』

「はい、すぐに・・・すぐに行くから・・・助けて下さい!」

 

『すぐに来い!車か?気をつけぇ。それと、これは携帯電話か?』

「そうです・・・」

『じゃあ切るな!このまま彼女の耳に押し当てて、わしの声が聞こえるようにせぇ!』

「わ、わかりました」

 

携帯を自分の耳からはなしたオレに、両親はすぐ詰め寄ってきた。

「お、おい、今の話はなんや!どういうことや!」

「車で話します!だから・・・車貸して下さい!スグに!」

気づくとオレは、ベソかいて涙と鼻水で顔がぐちゃぐちゃだった。

 

「病院に行くんじゃないんか?訳を話せ!」

「神社に行くんです!オレが幽霊にちょっかい出したんです!そのせいで彼女がこうなってるんです!お祓いしてもらうんじゃ!スグ行かんと!!」

オレはまくしたてた。

オレのすごいけんまくに、両親も押され気味で困惑していた。

さすがに、いきなり幽霊とか言われりゃ困惑するだろうが・・・。

 

「何言ってるの・・・病院行かなきゃ・・・!!あなた!!」

迷うお父さんの背中から、オレカノがふと目を開けてオレを見て言った。

「Yさん・・・」

絵馬にあった名前・・・大好きなYさん・・・オレは血の気がひいた。

両親を殴り倒して車を奪ってでも神社に行かなきゃ。

 

「行こう」

急にお父さんが娘を車にのせた。

 

「君が運転してくれ」

オレはすぐに車に乗り込んだ。

お母さんは、「あなた!本気!?どういうこと!?」と錯乱気味だ。

 

お母さんも乗り込んできて、運転席のオレにつかみかかるが、オレは構うもんかと車を発車させた。

そして、もめている両親の怒号を打ち消すような大声で叫んだ。

「この携帯電話をオレカノの耳に当ててくれ!!」

キーキー騒ぎ立てる母親を静止して、お父さんは携帯電話を彼女の耳にあてた。

すると彼女は苦しみ出した様子で、お母さんはもう狂ったように、「やめてー!やめてー!」と叫んでいた。

 

「これは、なんや!なんでこんなことするんや!」

「神社の神主さんがそうしろって!オレもわかりません・・・!」

 

車の中はしばらく騒々しかったが、やがてお母さんも落ち着いてきて、(というか、疲れてきたというか)

お父さんは詳細を把握しようと、オレに経緯を尋ねた。

オレは神社のこと、女と絵馬のこと、そしてあの夜のことを話した。

両親は信じがたかったろうが、特に反論もせず、それからはしきりに彼女の名前を呼んで励ましていた。

神社につくと、オレは彼女の耳から携帯を取り、自分の耳にあてた。

電話からは、オッサンのお経のような、呪文のような、そんな声が聞こえる。

「つきました!」

『~~~・・・!そうか!すぐに前、お前が入った建物まで運べ!』

オレとお父さんで、急いで彼女を神社の裏手の建物に運んだ。

オッサンは、なんか神々しい格好をしていて頼もしかった。

 

「彼女をここに!」

言われた通り、彼女をオッサンの前の布がひかれた場所に寝かせる。

オッサンはお経のような、呪文のような、歌のような、そんな言葉を発しながら、彼女の身体に手をかざしたりしはじめた。

たまに普通の日本語っぽい言葉も聞こえた。

 

そのうち彼女に変化があった。

「うぅ~~、うぉおお~~」

 

うなり声があがったと思うと、彼女は目を見開いて

「またかー!またかー!おのれー!おのれー!」

と、すごい形相で叫び出した。

 

身体は反り返り、たまにドスンと床に落ち、すぐ反り返る。

お母さんは、その様子を見て気を失ってしまった。

オレも、もう身体がありえないくらい震えていた。

 

「違う!違うぞ!この男は違うのだー!」

「ヒャーッ!ヒャーッ!Y~~~~~!Y~~~~~!」

卒倒寸前のオレをオッサンはいきなり捕まえて、彼女の目の前に突き出した。

 

「よく見るがいい!おまえの愛した男か!違うであろう!」

すごい彼女の形相。

いや、これはあの女の顔なのか。

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、違うんです、ごめんなさい・・・」

オレは絵馬を外したことを、心のそこから謝った。

 

「~~~~~~~~~~」

声にならない声で唸っている彼女・・・そのうちそれは、すすり泣きのようになっていった。

オッサンはそれをみはからったように、彼女の横にそっとしゃがみこみ、今迄とはくらべものにならないくらい小さな声で語りかけていた。

オレは腰が抜けて放心状態だった。横では彼女のお父さんもへたり込んでいた。

 

やがて、彼女はだんだん落ち着いた様子になってきた。

オッサンは最後の仕上げとでもいうように、立ち上がり、またお経のようなものを読んで、オレらの前にしゃなりと正座した。

「もう、大丈夫です」

それを聞いてオレは、涙がボロボロ出た。声をあげて泣きじゃくってしまった。

お父さんとオッサンがいろいろ話をしていたようだが、よく聞いていない。

彼女は気を失ったままで、「意識が戻ってからでいいので、病院に行くように」と言われたらしい。

 

オッサンは帰り際にオレに話した。

「正直、あの程度でここまでつかれるとは思わんかった。
あんたぁ、よっぼど気に入られたんじゃのぉ。
もう祓ったから心配いらん。が、もう彼女には会うな。
未練はそうとうなもんじゃ。またあんたと一緒におればああなるかも知らん。
もう会うな。お互いの為じゃ。気の毒じゃがそうせぇ。。」

彼女のことは好きだったので、ショックだったが、やむを得ないと思った。

 

オッサンは続けて、

「できればの・・・引っ越せ。この土地を離れぇ。それが一番安全じゃ。
もとはと言えば、あんたの軽はずみな行動が原因じゃ。反省せぇ」

引っ越しはちょっと・・・と思ったが、やっぱりやむを得ないと思った。

学校もやめなきゃ・・・。

 

その後、彼女の両親に送ってもらった。

お父さんは、「こうなったのは君のせいだが、助けてくれたのも君だから礼を言う」と言ってくれた。

お母さんはずっと黙ってた。

オレは両親に、もう彼女とは別れ、自分もこの土地を後にし、戻らないと約束した。

お別れも言えないなんて、つらくて涙が出た。

 

その後、オレは学校をやめて、地元に戻り就職した。

その頃につるんでいた友達(心霊スポットを一緒に回った友達2人も)もちょくちょく遊びに来てくれたが、

誰も彼女のことや、あの夜の後日談に触れるやつはいなかった。

画像出典元:p.twipple.jp

引用元:怖いコピペ

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