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これは我が一族にまつわる恐怖の実話です。

私の家は祖父、父ともに早死にしています。
父は私が産まれて2歳のときに亡くなりました。
私にはほとんど記憶がないのですが、いつも祖母からお前も気をつけないといけないと言われていました。

その私も子供が産まれて2歳の誕生日を迎えた翌日のことです。
その日は残業で駅に降りたのが11:00過ぎぐらいでした。
いつもの通い慣れた道を帰宅中、何か雰囲気が違うのを感じていました。

ふと見ると昨日まで灯いていた全ての街灯消えているのです。
おかしいなと思いながら坂道を上がって行くと、どこからともなく竹の触れ合うガチャガチャというような音が聞こえてきました。
良く耳を澄ますと前方の坂道上の方からするようでした。

私は歩きながら前方を注視するとボーとした明かりのなかに人陰がみえるのです。
前から人が歩いてきているとホッとしたのを覚えています。
近づいていくうちに竹の触れ合う音はそこからしているようでした。

良く凝らしてみると、それは鎧に身を包んだ戦国武将の格好をした人と取り巻きの人達が数人こちらに向かって歩いてきます。
「なんだこりゃ?撮影でもしているのか?」と思って辺りを見回してもそのような雰囲気はありません。

人影はだんだん近づいてきます。
それにつれて音も大きくなってきました。
そして…近づいてきたその人達に首がなく、この世のものではないというか感覚があり、私は恐怖に震えました。

とその時、武将の格好をした人が刀を抜き放ちこちらに走ってきました。
ギラギラと光っている刀の恐怖は今もわすれません。
私は何がなんだかわからず無我夢中で逃げました。

駅の近くまで走ってきてやっと一息ついたときには、もう音も武者もいませんでした。
私は妻に電話し車で迎えに来てもらい帰宅中、さっきの話しを妻にしていました。
私は話に夢中だったので気が付かなかったのですが、妻がさっきから同じ道をぐるぐる回っている気がするというのです。

確かにこの角はさっき通ったはず妻は恐くなって車を止めました。
私もこれは何かあると思いました。
するとヘッドライトの先を何かが横切っていくのが見えました。
最初はコウモリでも飛んでいるのかと思いましたが、よく見るとそれは兜をかぶった武者の頭だったのです。

フロントガラス越しにこちらをにらみながら「み~つ~け~た~ぞ~」といいながらギロリとにらんできます。
恐怖は絶頂でした。

その時、妻が突然悲鳴をあげて気絶しました。
なんと窓ガラスという窓ガラスに昔の落ち武者らしい、しかも顔が半分切られて無かったり、血だらけだったりした顔がべったり張り付いていました。
私も恐怖で失神したらしく、気がついたら妻に揺り起こされていました。

時間はまだ午前2時頃で辺りはまだ真っ暗でした。
急いで車を出して、今度はすんなり家にたどり着くことができました。

家中をたたき起こして今の出来事を話しました。
すると祖母がやっぱり来たかというのです。
それはどういうことかと聞き返すと実は私の父も祖父もそうだったというのです。

私にはなにがなにやらわかりません。
ただ、父も祖父も死因は心臓麻痺だったということが異常に頭に付くのです。
確かにあのまま気絶していなければ、もしかしたら心臓麻痺になっていたかもしれないからです。

そして祖母は続けて、理由は分からないが家の家系には呪いが掛けられているようだ、というのです。

どんな?

わかりませんが、昔から家の部屋という部屋には御札が張ってあってなんだろう、と思っていたのです。
しかも何処へ行くにもお守りを持っていかないと祖母によく叱られていました。
今ではポケットにお守りを持ち歩くのは慣れっこになりましたが、お守りを持ち歩かなければ死んでいたかもしれません。

祖母は親交のある祈祷師を呼んで夜中だというのに家の中は騒然としていました。
私の部屋の隅々には何やら書かれた御札が張られ、部屋の真ん中には四角く縄のロープを張ってそのロープにも何やら文字が書いてある紙が貼られていました。

畳には水のようなもので文字を書き、私は1週間そこからで出てはいけなく、食事も運ばれトイレもおまるでするようにキツく祈祷師に念を押された。

隣の部屋では祈祷が行われ、私はその中へ入ったそれほど恐怖はなかった。
ただ、部屋に充満している線香の煙には閉口した。

朝になって夜になったが何事もなく過ぎていった。
私はちょっと大袈裟すぎると言ったが祖母がゆるしてくれなかった。

そしてその夜、昨日の疲れもあって私はすぐに眠りについた。
息苦しさに目をさますと、付けていたはずの電気が消えていて、隣で祈祷しているはずの声や遠くの電車、車の音もしない静寂に包まれていた。
流石に何かくるのかと恐怖したが、その四角いロープからでないように当たりに気を配った。

すると家全体がミシミシ音を立て地震のような地鳴り、揺れが襲った思わず「地震だ~」と叫んでロープを出ようとしたその時、私の腕が何者かに捕まれて押し戻された。

びっくりして後ろを振り返っても誰もいない。
ところが押し戻されて畳に尻餅をついたとたん揺れも地鳴りもしなくなった。

窓の外に懐中電灯のような明かりがゆらゆらと無数にゆれていたそこから「くやしいぃ~~あとすこしだったくやしいぃ~」という呻き声が響いた。
その声だけでガタガタと振るえがとまらず恐怖した。
その日はそれだけで済んだ。

私は疲れ果てて眠った。
すると夢の中の自分に遠くから「がんばれ~まけるな~」と妙に懐かしい声がする。

誰だろうと思っていると随分古い着物を着た人達が7人ぐらいニコニコと笑いながら、こちらを見ていたその中の1人の白いYシャツを着たひとが父である気がした。

思わず泣いている自分に目が覚めた。
たぶん、昨日、ロープから出そうになった時、腕を引っ張ったのも、今の自分を守ってくれていることも、夢の父であることを確信した。

なんとか1週間を乗り越える決意をして、また夜になった。
その夜も地震のような地鳴りのような揺れと音が鳴り出した。
昨日と違うのはその音に混じって沢山の人達の声が「くやしいぃ~~ここへでてこ~い殺してやる~」と言いながら、家の外をぐるぐる回っている様子があることだ。

御札が貼ってあるせいで亡者はここへ入ってこれないらしかった。
そういう毎日が5日ほど続き、最後の夜になった。
私は慣れてきたせいか昨日は外の音にも眠ることが出来て、怖さも慣れるものだとびっくりもした。
さて今日で最後だ!来るならきてみろ~と言い放ち、過去の6日間から絶対来れないだろうと確信があった。

そしてまた今日も地鳴りがして家が揺れた。
内心またかと思いながら朝が来るのを待っていた。

家の揺れも終わり辺りが明るくなってきた。
いつもより時間が短く感じた。

私はそこから出れるのがうれしくて縄のロープに手を掛けた。

その瞬間、「ギャ~!!!」と隣の祈祷師の悲鳴が。。。
すると部屋の四隅に貼ってある御札の1枚が剥がれて畳に落ちた。

急に部屋の中に風が巻き起こり、何者かが落ちた御札の貼ってあった場所から部屋へ入ってくる気配を感じた。
すごい人数が部屋へ入ってきた。
皆、落ち武者のようにザンバラ髪で腕がなかったり、頭から血をながしていたり、首がなかったりしていた。

彼らは私を殺そうとしているのが良く分かった。
悪臭と醜い呻き声が部屋に充満する。

これは殺される!

そう思ったが、彼らは縄のロープから入ってくることが出来ないようで、その外でもがいていた。

私は叫んだ。
「なんで私がこんな目にあわなければいけなんだ~いったいなんなんだおまえ達は」
すると武将の甲冑に身を包んだ男が私の目の前にきて私をにらんだ。
その怖さときたら思わず倒れそうになり、縄のロープに手を掛けた。
全身に電気のような感覚が走り、私は気絶したようだった。

そこで夢のような現実のような妙な体験をした。
時代は戦国時代のような時代で、私は甲冑を身に着けてた。
雨が降っていて、何か妙に生暖かい空気と重い鎧、それは夢のようではなかったのです。

そして、私の前に堂々とした体格の大将と思われる武者が座っていて、辺りには人がいませんでした。
なにかとても、親しい間柄であることは感じられました。

先ほどまで自分だと思っていたその体はいきなり刀を抜き放ち、その人に切り付けていました。
鎧の重さは肩に食い込むようでした。
急に切り付けられた武者の首に刀が半分食い込んで、夥しい血が吹き出しています。
なぜ私はこの人を切ったのだろう、と不思議な夢でもみているようななんとも言えない感覚でした。

切り付けられた武者は刀を掴み抵抗し、こちらをむいて「おのれぇ~うらぎりものめ~おまえの子孫を9代に渡って恨み殺してくれるぞ~おぼえておけ~~~」

最後の声は良く聞き取れませんがそのように聞こえました。
その恨みの声のすごさで気が付くとそこには先ほどの夢に出てきた武者が

「うらぎりもの~おまえで9代目だぁ迎えにきたぞ~」
「迎えにきたぞ~うらぎりものぉ~~」

周りの亡者からの声。
背筋が凍り動けません。
私は畳に額を押し付け「悪かった悪かったゆるしてくれぇ~」と泣きながら叫んでいました。

理由はよくわかりません。
とにかく、あらんかぎりの声で何時間か叫んでいました。

気がつくと既に亡者はいませんでした。
私は呆然とただただ辺りを見回すだけでした。

そうしているうちに祖母が泣きながら部屋に入ってきて、もう終わったからここから出てもいいと言うので、うれしくなってその部屋から出て愕然としました。

…そこは血でいっぱいでした。
祖母の親しい祈祷師は首から真っ二つに切られていて、もう一人の祈祷師が未だ祈祷をやめていませんでした。
その祈祷師の話だと、私の替わりに祈祷師を連れていったということでした。

確かに死んだ祈祷師は私の服をきていました。
たぶん私が助からないことを知った祈祷師が身代わりになったのだろうことが容易に想像できました。

私は夢のような体験を皆に話すと、祖母がおまえで9代目であろうと話していた。
地獄とはかくも近くにあったのだ。
犠牲になった祈祷師の安らかなるご冥福をお祈りいたします。

引用元:怪談・怖い話まとめ

 

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