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投稿者: ゆい

大学生の頃の話です。真夏になると思い出します。北東北のお祭り、有名なものが沢山ありますね。そのうちの選りすぐりのひとつが間近な頃。

             関東からその大学にいく学生は少なくて、同県人なんて数名。親やら親戚やらが学校という学校に、わんさかいる地元から離れた私は、初めての独り暮らしを寂しいなんて微塵も感じず、開放感にドップリで大学一年目を暮らしていました。
そんな中、同じ学生寮の隣の部屋のA子から、イベントのお誘いがありました。彼女の持ち込んだチラシは、
「インドヨガで瞑想&ダイエット」
A子に伴われイベント会場の運動公園にいくと、還暦くらいの小太りのオバチャンが満面の笑みで待ち構えてました。正直、ダイエットは嘘だなって馬鹿でもわかる感じ。
しかし、講師はスリムな、いや、ムシロ干からびた30代の青白い顔色の男女。
あー、痩せる話はこの人達なんだな、って挨拶したら…
さっきのオバチャンが
「ナァはワについでけへ」(言葉が聞き取れませんがこんな感じ)
「???」
手を引かれて連れて行かれると大学の同じクラスの男子がいました。
「あ、B君、なにしと?」
「俺が、アンタを誘うようにA子に頼んだんや」
同じクラス、専攻まで同じでも、ほぼ話をするのが初めてのB君。痩せて小柄な彼は学生寮主催のコンパの帰路で中坊と間違われ補導された逸話を持つキワモノ。
体育会系な私はすぐこう考えました。
「新興宗教ね?だったらアタシは無理やで。お父はん牧師やし、お爺はん坊主、やめてんか」
そこでさっきのオバチャンが口を挟んだ。
「まい、まい、まい、まいね!あー、標準語では、駄目。あんたはお客様、何十年か何百年かの客人」
オバチャンに抱き付かれ恐怖マックス。
周りの人が私の周りに集まりだした。さらに怖さ半端ない。皆、ニコニコと笑いながら私を囲む。ヤバさに汗が背中を伝う。一人二人なら投げ飛ばしたり体当たりもあるが、二十人超。イベントに誘ってきたA子の姿は何処に見つからず。心臓の鼓動だけがやけに大きく耳元に響きます。
「ご飯食べて」
オバチャンが柔やかに言った。戸惑っていると
「け!」(け?けへ?だかわからない)
ワンボックスカーに拉致られ10分後、アーケード商店街の外れの五階建ての商業施設っぽいビルの入口の前に降ろされた。(生臭い、重く、ジメッとした空気に充ち満ちたビルの入口でした。)
車から降ろされる時が脱出のチャンス!しかし、通行人も皆無。虚しくビルへ連行された。ビルの五階に連れて行かれると、A子、B君と30代の長身の男性(地味ながらイケメン)とオバチャンが鎮座。
「アンタが来ることは仏様からお伺いしてました。」オバチャン、目が据わってます。怖さ半端ない。
「これは、アタシの一人息子」
イケメン静かに頷く。
足がガクガクしながら悔しいので絞り出すようにやっとこさ言い放った。
「私にどんな恨みがあるかしりませんが、これって拉致監禁?違いますぅ?」
オバチャンは微笑みながら
「仏様の道を妨害するモノが多いから、仕方なく
こうした」(方言がキツくて忘れましたがこんなんやったわ。)
ビルの階段は生臭い匂いと線香のかおりが交じり奇妙な湿った空気でした。食事の前に3階に連れて行かれました。
3階はお寺の本堂ソックリ。
さっきのオバチャンがお坊さんみたいに仕切って勤行します。母さんの実家の真言宗のお寺とよく似た勤行。
             しかし、まったく異なるのは匂いと音でした。線香や香木の香とまったく異質な動物匂と腐臭が3階は強烈でした。
オバチャンが御経を唱えている真後ろやに真っ黒な人影がユラユラ。勿論、信者さんではなく、半透明な黒い陰。爺ちゃんちのお寺では一度も見たことない気持ち悪いナニかが揺らめいて信者さんたちの頭の上や肩越しに同じように祈り漂っていました。
幼い頃、同じようなものを火葬場で見たことを思い出しました。火葬の火口のドアの前にいた黒い人影。年若の叔父に話すと、叔父は人差し指を唇にあてて
「逝くべきところに、すっきり行けないと苦しいものだよ。行ける人は幸せだよ。」

引用元:怖い話らぼ

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