tenteki
06/11/06
土曜に昔の仲間にあって思い出した話をします。

 

皆さんは検体回収という仕事を知っているでしょうか?主に検査会社などの仕事で、病院などを廻って、外注検査に出す血液などを回収してくる仕事です。

 

大きな病院なら検査設備が整っているのですが、それでも特殊な検査になるとたいがい検査会社に外注依頼します。

 

中には警察署などから薬物検査や変死体などの検体を回収してくる事もあります。

 

私はとある大手の検査会社に営業として勤務しておりました。
回収に赴くのは主に女性です。病院というのは難しい人が多い上、特に気難しい人が多い検査室などは神経の細やかな女性のほうが喜ばれるからです。


その年、とある大病院の特殊検査を落札しました。はじめは私が回収にお邪魔していたのですが、だいたい内容もつかんだので一人女性を新規に採用しました。


彼女の名前を仮にAさんとすることにします。Aさんは初めこそ慣れない検査用語などで苦労していたようです。


しかし物覚えの良い人で、2週間後には一人で回収に行ったり、検査報告書のチェックが出来るようになりました。


2ヶ月ほどたった頃、いつものように検査報告書をチェックしていたAさんが私のところにやってきて


「ちょっと心配な患者さんが」


と言ってきました。私はてっきり検査報告書に不備でもあったのかと思い、聞き返すと、


「この患者さん…私と同じ年なのに白血病みたいなんです」


と言うのです。


こういうことはたまにある事で、例えば子供のいる人などは「この子3歳なのにリウマチでかわいそう」とかいう話を雑談しているのを耳にしたりします。


私は、ああ、彼女は優しいんだなと思いその場は彼女をなぐさめて終わりました。


ところが…


白血病というのは化学治療のクールごとに成果を見るために、マルクをして染色体検査や細免検査などをして陽性率を見たりします。


また感染症にかかる場合もありますのでたびたび検査に出るのです。他にもそういう患者さんがいます。


なのにAさんはその患者にまるでとりつかれたみたいになりました。その患者の検体が出るたびにそわそわしたり、イラ立ったりするようになりました。


何度も検査室に報告日を問い合わせたり、報告書が来る日は誰より早く来たりするのです。


最もこれは後から同じ回収班の女性から聞いたことで、当時の私は気づかなかったのです。


しかしそのうち彼女は帰着予定時間を過ぎたり明らかに以前と異なる様子になりました。体も痩せ笑顔もなくなり無口になりました。


そんなことが続いて半年もたったころ、彼女が突然無断欠勤したり遅刻したりするようになりました。


出勤しても一言謝るだけ。私は彼女がこの仕事に向いていないのではないかと上司に話し、やめてもらう方向を取る事になりました。


あの日も彼女が無断欠勤をしたので私が回収にいったのです。


帰りに内科の医師に病理検査について聞きたいので、と言われて病棟に立ち寄りました。そうしたらやせ細った体の彼女がナースステーション前のある個室でぼーっと立ちつくしているのを見たのです。


一瞬声をかけようかと思いましたが怖くて、ぞっとして声をかけられなかったのです。最初に採用した時の彼女とはまるで異なっていました。


ナースステーションで医師と話しながら心は上の空でした。彼女には二度と会いたくない、やめてもらおうと心から思いました。


帰り際彼女の立ちつくしていた個室の前の名札を見ると例の患者さんでした。やっぱりと思うと同時に吐き気がこみ上げて来てトイレで吐きました。


彼女にはすぐにやめてもらいました。


それからしばらくたって、その病院の精神科から出た検体に彼女の名前がありました。


それからなおしばらくたってその病院の中庭に飛び降りて死んだ患者さんの話を聞きました。それはAさんと同じ苗字でした。それ以上は怖くて聞けませんでした。


長くてすみません。

引用元:パラノーマルちゃんねる

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