Horror Scene of a Scary Woman

Horror Scene of a Scary Woman

得意先のファッキンなミスで急な残業になったことがある。
時刻は午前零時を過ぎていた。

周りの人はもう帰って、自分ともう一人の同僚とで必死になっていた。
「腹減ったなあ。なんか買ってくるわ」と、同僚が席を立つ。
自分はひたすら仕事を片付けていたところ、他の席で内線が鳴った。
同僚からかと思って取ったが、何も聞こえなかったので切った。

しばらくして、他の席で内線が鳴る。

代理で取る。
聞こえない。

他の席で内線が鳴る。
代理で取る。
聞こえない。

他の席で内線が鳴る。
代理で取る。
聞こえない。

他の席で内線が鳴る。
代理で取る。
聞こえない。

他の席で内線が鳴る。
代理で取る。
聞こえない。

他の席で内線が鳴る。
代理で取る。
聞こえな・・・否(いな)。

電話が遠いが、かすれたような息遣い。

『ヒュー・・・ヒュー・・・ヒュー・・・ゼイ・・・ゼイ・・・』

あたかも喘息のような。
あれ・・・?そういえば、何故、電話が鳴るんだろう。
外線なら、留守電に切り替わっているから着信することはない。
第一、音が違う。

・・・さっきから、内線の鳴る席が近づいて来ていないか?
・・・さっきから、なにかが来ていないか?
・・・床が、なにかの動きにあわせて、軋む音がしていないか?

自席の内線が鳴る。
伸ばした手が震えている。
ぷるぷる震えている。

意を決して受話器を取り上げ、「いい加減にせんかゴゥルァァァァァ!!こちとら納期が迫ってんだアホンダルァァァァ!悪戯する暇あるんなら手伝わんかぁぁぁ!とりあえず用紙補給でもスペルチェックでも何でもしろやぁぁぁ!手伝わなきゃ滅(めっ)すぞWRYYYYYYYYYYYYYY(ウリィィィィィィィィィィィイィィィィイ)!!!!」と、噛んで含めるかのように優しく諭した所、息遣いが泣いているような音に変わった。

「泣いた位でごまかせると思ってんのか甘ったれんなゴラァァァァァァ!!
腕立て100回でもしてろバカ野郎!!!!文句があるならヴェルサイユへいらっしゃぁぁぁぁぁぁぁい!!!」

・・・ふと気づくと、鳩が豆鉄砲食らったような顔した同僚が目の前にいた。

「いやぁ・・・迫りくる内線、っていう怪談は聞いていたけど・・・その現場見たけど・・・幽霊に巻き舌で怒鳴るお前が一番怖い・・・」

それ以来、残業をしても何も起きなくなったらしい。
午前零時を過ぎてから迫る内線、というのは残業した人たちの間では暗黙の了解で、『起きていない』ことにされていたらしいのが、ピッタリ止まったとのこと。

・・・その後、1階下のフロアに怪異現象が移ったとか、移らないとか・・・。

引用元:鵺速あなたの傍の怖い話

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