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レッカーの仕事、スーパーエースの話34です。
今回は、リクエストがあったので死蟲の話を。ただ、佐藤君に「死蟲の話いっぱいして」と言ったら「ない!」と言われました(笑)よく見るしその辺に飛んでるけど、話になるようなことは前回のことくらいなんですって。
とりあえず、それでも頑張って聞いて、何とか話にしましたので(笑)つまんなかったらごめんなさい。

佐藤君が初めて死蟲の存在に気付いたのは、恐らく幼稚園くらいの頃じゃないか、との事です。
当時、まだ野良猫や野良犬もその辺にいて、雑木林や団地の軒下などで死んでいるのを目にしました。
そういう死体を見ると、ハエとも違う、蚊でもない黒い「何か」が飛んでいる。
小学生の低学年の頃、クラスメートのお母さんが亡くなりお通夜に行った時も、やはりその黒い「何か」は祭壇の棺桶を出たり入ったりしていたそうです。
数にしても、例えば犬や猫なら少なくて、人なら多いのか?というと、そうでもない。全くいない場合もある。掴もうとすれば消えてしまうし、とにかく出現条件不明な変な物体。
佐藤君のお母さんが亡くなった夜。少ない親類も帰り、お婆さんが線香番をしながらウトウトし出す頃、この黒い物体を捕まえたらお母さんは帰ってくる、と何故か思った佐藤君は、虫取り網を片手に棺桶の前に立ちました。
四苦八苦して網で捕獲してもすり抜けてしまう。手で掴んだはずなのに、手を開くと何もいなかった。
気づくと、お婆さんが涙ながらに佐藤君の頭を撫で、「それを捕まえてもお母さんは帰って来んのよ」と言ったそうです。まるで佐藤君のしていることが全て分かっているかのように。
その時、初めて「死蟲」という名前を耳にしました。お婆さんもまた、お婆さんに聞いたから本当の名前は知らん、と言ったようです。とにかく遥か昔から存在しているらしい、と言うことしか分からない。
ただ、普通の人には見えないから、もしどこかで死蟲を見ても、人には言っちゃいけないよ、といつもの箝口令が引かれました。
小学3年生のある夏の日、幼なじみのA君(「新居」の話に出てきた彼です)とカブトムシを取りに、近くの小山に行くことに。
早朝で朝靄が立ち込め、前を行くA君の自転車も見にくい中、フラフラ飛び交う死蟲が目に入った。
佐藤君が自転車のブレーキをかけると、けたたましい音が鳴り響く。A君もその音に反応して自転車を止めたようです。
どうした?と言うA君に、うん、ちょっと。と返して、背丈より高い雑草がひしめく薮の中に入って行く佐藤君。
「また何か見えたのかよ!ちょっと、おい!」と佐藤君を追いかけるA君。
佐藤君は、雑草を縫うようにして目の前を行く死蟲を追う。
道路から4、5メートル入ったあたりで、佐藤君の足が止まった。追いついたA君が目にしたものは、背広を着た大人の男の人の後ろ姿でした。
こんな薮の中に人?来た道は誰かが歩いた跡なんかなかった。しかもこんなに近くに来たのに振り向きもしない。
さすがにおかしいと思ったのでしょう。A君は佐藤君に「あの人って、何か…」と言いかけました。でも、その口がその後の言葉を発することはなかった。
背広の男は、雑草の中を真っ直ぐ行ってしまった。雑草を揺らすこともなく、音を立てることもなく。
この時、佐藤君には死蟲しか見えていなかったそうです。でもA君には男の人が見えていた。
A君は、佐藤君といることで幽霊を見ることになった最初の人でしょうね(笑)この以前にも似たことはあったようです。それでも佐藤君をかまってくれる、いいお兄さんでした。
佐藤君は迷いもせずに死蟲を追う。引き返せないA君は佐藤君の後を追う。
少し行くと、山の斜面のように少し傾斜がついてきた。と同時に、雑草の背丈が低くなり木が目立ってきた。道路からは10メートルくらいだろうか。
佐藤君の前を行く死蟲が、ある木の下に来ると急に上に向かって飛んだ。目でそれを追う佐藤君。促されるように上を見るA君。
その瞬間、2人とも大絶叫。そこには、白骨化した首吊り死体がぶら下がっていたそうです。それも、頭骸骨と背骨だけ。
足元には、その他の骨や腐った衣類などが散乱していたようです。
脱兎のごとく逃げ出した2人は、そのまま警察…ではなく佐藤君のお婆さんに泣きつきました。
警察に通報したお婆さんは、2人に「カブトムシを取りに行ったら見つけた」それだけ言いなさい、と念を押したそうです。
それから、もう二度と死蟲を追いかけないことを約束させられた佐藤君でした。
死体は、前年の冬に自殺した方らしく、遺族の方が見つけてくれてありがとう、と、わざわざお菓子を持って佐藤君にお礼を言いにきたそうです。
不思議に思ったのは、佐藤君が見ていた死蟲がA君には男の人に見えていたこと。
それに、この話では佐藤君には自殺者の幽霊が見えていなかったこと。
死蟲が佐藤君を道案内したのか?たまたま佐藤君が追いかけただけなのか?
その辺に、死蟲の謎を解き明かすヒントがありそうですが、当の佐藤君が「どうでもいい」と言うので、解明はできなそうですね(笑)
どなたか、霊が見える方。もし死蟲が見えたなら、解明してみてください。

引用元:怖い話のまとめ オカ学

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